
藤原竜也主演の「カイジ ファイナルゲーム」。
シリーズ3部作目となる本作が、2020年1月10日に公開されました。
原作にはない完全オリジナルストーリー。
2020年の東京オリンピック後、圧倒的な経済格差が進行し、絶望的な不景気となる時代背景です。
カイジも「日当の7割を搾取される」というブラックすぎる派遣会社で働いています。
映画としては、福士蒼汰さんや新田真剣佑さんの熱演もよかったですが、良くも悪くも「カイジ=藤原竜也」という点を楽しむことができました。
それでは「カイジ ファイナルゲーム」のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。
「劇中で行われたゲーム(ルール)」「映画の評判や口コミ」「ストーリーの結末」まで徹底解説していきます。
「カイジ ファイナルゲーム」のテーマ

「アイツが帰って来る―」
9年ぶりに続編が製作されたカイジシリーズは、本作で最後と言われています。
「カイジ」シリーズの魅力は、カイジが「ギャンブルでどうやって生き延びていくのか」という部分が前面に出てきますが、裏を支えるのは「クズこそ正しい」というテーマ性。
本作は、特にこのテーマが強調された作品です。
過去作に比べ、社会的弱者という面が圧倒的に押し出されています。
政府すらも巻き込んでいるストーリーは、ギャンブルを超えた壮大な展開になっています。
年金も40%をカットして生活保護も廃止。
消費税率30%となり、缶ビール1杯1000円になってしまった日本が恐ろしいです。
「カイジ ファイナルゲーム」で行なわれた4つのゲーム
本シリーズでは、原作者の福本伸行さんが完全オリジナルストーリーを描き下ろし、新たなゲームが4つ考案されました。
ゲーム名 | 内容 |
---|---|
バベルの塔 | 長さ8m。棒のテッペンに貼り付けられたカードを奪取したら勝利。 |
ゴールドジャンケン | 3回のうち1回は純金を握り、勝てば純金がもらえる。 |
ドリームジャンプ | 落ちたら確実に死ぬ高さから一斉にジャンプ。生存率は1/10。 |
最後の審判 | 自分の全財産を金に替え、巨大な秤で重かったほうが勝利。 |
遊び心のあるゲーム名ですが、「ドリームジャンプ」のようにハードなゲームも混ざっています。まずは、これらのゲームについて説明していきましょう。
「カイジ ファイナルゲーム」で行なわれるゲームその1【バベルの塔】

山下埠頭(横浜)のどこかに、8メートルある高さの棒が立てられており、それを探して頂上にあるカードを奪うというもの。
予告動画でもあった「なんで俺またこんな事やってんだよ!」というシーンはこのゲームです。
このゲームに勝利すると、賞金10億円が手に入れられます。
しかし、実はもう1つ獲得できるものがあり、「さらなる大金の情報」が得られることも可能なのです!勝者は、このどちらかを選択できます。
「カイジ ファイナルゲーム」で行なわれるゲームその2【ゴールドジャンケン】

過去作には「限定ジャンケン」というゲームがありましたが、それとはルールが違います。
このゲームは首相補佐官の高倉が接待ギャンブルとして考案したもの。
卵の形をした金塊が3つ用意され、一回は必ず金塊を握って勝負しなければなりません。
そして、その金塊を持ちながらジャンケンに勝った場合は、その金塊もゲットできます。「ゴールドジャンケン」は、本作のクライマックスを飾る重要なゲームです。
個人的には、もっとも“カイジらしさ”を感じたゲームでした。
「カイジ ファイナルゲーム」で行なわれるゲームその3【ドリームジャンプ】

このゲームは帝愛グループが運営する地下ギャンブル場に作られたゲーム。
数十メートルの高さにある高台から、10人が足にロープを結んで一斉にジャンプします。
そのロープの1本だけドラムにロックされており、それ以外のロープには何にも結わえ付けられていません。
それにより、一人だけが生き残り、他の9人は全員死にます。
成功確率は1/10なので、かなりハイリスクなギャンブルとも言えます。
誰が生き残るれるのか・・・この光景を金の亡者たちが喜んでいるというわけです。
「カイジ ファイナルゲーム」で行なわれるゲームその4【最後の審判~人間秤~】

「勝者のみが生き残る」というカイジの世界観を凝縮したゲーム。
同じぐらいの財産を持った2人のプレイヤーが、自分の全財産を金に替え、金の重さで勝敗を決するものです。
いくらお金持ちであっても、これに負けたら全部の財産を相手に与えなければいけません。
ルールとしては「クイズミリオネア」のような要素を持っていて、「4つのF」から支援を受けられます。
Family | 家族からの支援 |
---|---|
Friend | 友達からの支援 |
Fixer | 財界・政界からの支援 |
Fan | 会場にいるファンからの支援 |
「家族」「友達」「フィクサー」「ファン」からの支援を受け、自分の財産を増やすこともでき、今までの人脈やアピールによって財産に差が出る仕組みです。
4時間の間でどれだけ財産を増やすことができるのか。
このゲームが「カイジ ファイナルゲーム」のメインゲームとなります。
【ネタバレあり】カイジファイナルゲームのあらすじ紹介!
それでは「カイジ ファイナルゲーム」のあらすじをネタバレありで紹介していきます。
「ネタバレされたくない」という方はここまでにしてください。
帝愛グループとの闘いは続いていた

経済が失速していく日本。
帝愛グループの派遣社員として、どん底の生活を送っていたカイジがいました。
そこに、過去作でも出演したハンチョウ(大槻)がやってきます。
ハンチョウからのすすめで、若者救済イベントである「バベルの塔」へ参加することに。ここで勝利したカイジは、10億円の賞金を選択せず、極秘情報をゲットします。
その極秘情報に書かれていたのは、不動産王である東郷の家の住所。
東郷は「バベルの塔」を考案した主催者で、大阪大会で優勝したラッキーガールの加奈子とともに、あるギャンブルを手伝って欲しいと言われます。

東郷によると、政府は国家の累積赤字を解消するため、国民の保有資産を「凍結・相殺」しようとしており、「預金口座凍結法案(天命の儀)」を可決させようとしています。
東郷は国を守るために、政治家を買収したいとのこと。
そのためには全財産をかけ、地下ギャンブル場の「最後の審判」に出場し、「手持ちの500億円の資産を倍にしたい」ということだったのです。
渋っていたカイジでしたが、「最後の審判」の相手が帝愛グループの派遣会社を運営する社長黒崎であると聞き、加奈子と共に協力することにしました。
「最後の審判」で黒崎とバトル!

「最後の審判」でキーになってくる「友達」「家族」「フィクサー」のつてを増やしていきながら、ついに東郷は黒崎とバトルをすることになります。
それぞれの財産を測ると、東郷500億円に対し、黒崎は400億円。
東郷は“優勢にゲームを進められる”と確信します。
しかし「Friend」の支援時間になると、黒崎は派遣社員に借金をさせ、多数の金塊を集めていきます。
そして「Family」の時には、3日前に結婚した資産家の娘から100億円の支援も受けることに。
さらには東郷の「Fixer」であり、長年の友人だった会社社長も、黒崎に弱みを握られて黒崎を支援してしまいます。
汚い手口にいら立つカイジでしたが、なにもすることはできません。

万事休すかと思われた時、絵の値段の価値は、“金貨1枚ほどの価値もない”ことが判明しました。
東郷が亡き妻に渡した絵は、ただの東郷自身が書いた妻の絵だったのでした。
廣瀬は今まで殺したいほど憎んでいた東郷の母への気持ちを知り、東郷を裏切った自分に茫然自失します。
「いら立ち」と「憎しみ」。
様々な感情でどうしようもない廣瀬は、欠けた金貨を思いっきり東郷の秤に投げますが、鎖に阻まれた金貨はどこかにいってしまいました。
カイジ、「ドリームジャンプ」で起死回生を狙う!

東郷側の劣勢は挽回しようもありません。
「Fan」の時間になると、会場の人々は“金貨を倍にするため”に黒崎側へと金貨を投入していきました。
東郷の劣勢は、火を見るよりも明らかに。
焦る東郷陣営。そこで、カイジは賭けに出ます。
東郷に事前に話をして、軍資金を用意させていたのです。
「これを元手に軍資金を増やして、金塊を増やす。」このような仕掛けをカイジは考えていたのでした。
しかし、黒崎は地下ギャンブル場のギャンブルをすべて中止させてしまいます。
カイジの意思をつぶしたかに見えましたが、一つのギャンブルだけは閉じませんでした。やっていたのは「ドリームジャンプ」です。
黒崎は、「カイジがこのギャンブルにしかないこと」を知っていました。憎きカイジが自分の考えたギャンブルで死ぬ、その姿を楽しもうともしていたのです。
加奈子はカイジにやめるよう説得しますが、カイジは劣勢を挽回するため、命を懸けたギャンブル「ドリームジャンプ」に挑むことになります。
そして、偶然地下に居合わせた遠藤(天海祐希)の助言。
「加奈子・廣瀬」協力の元、無事に資産を増やすことができました。
しかしその間に、東郷は持病が悪化して死んでしまいます。
カイジ・東郷の逆転勝利!
黒崎は自分の勝利を確信し、金の亡者という本性を現し始めていました。
ゲーム終了かと思われていましたが、カイジの策略により、会場の時計は5分進んでおり、ゲーム時間はまだ5分残っていました。
「ドリームジャンプ」で稼いだ金塊もドローンで運び、「Fan」に紛れ込んだ坂崎(生瀬勝久)が後押しをしてくれたおかげで、「Fan」はどんどん東郷側に金貨を投げ込みます。
そして、最後の時・・・
黒崎が微妙な差で勝ったと思われましたが、時計の長針が下がると一枚のコインが東郷側の秤に入り、カイジ・東郷は逆転勝利をつかみました!
最後のコインは、廣瀬が入れるのに失敗した“欠けたコイン”だったのです。
銀行預金凍結法案を防げ!

「最後の審判」で勝利したカイジたち。
その前に高倉が現れ、すでに「天命の儀(預金封鎖)」は終わったと告げます。
政府の首脳は、大量の新紙幣を極秘に入手していて、旧円を新帝円に変更しようとしていました。
しかしカイジたちは東郷が残した策により、厳重なゲートで守られていた新帝円がある場所の暗証番号を入手していました。
ゲートの暗証番号を賭け、「銀行預金凍結法案」を廃止するため、謀略の黒幕である首相補佐官の高崎に「ゴールドジャンケン」を挑みます。
幾重にも練られた高崎の思惑をかいくぐり、カイジは「ゴールドジャンケン」に勝利しましたが、高崎は約束を破ります。
法案は凍結されないままになるかと思いきや、カイジはお見通しでした。
政府首脳が新紙幣を入手した映像を動画でアップし、汚職を暴露された政府は「銀行預金凍結法案」を廃止ということになったのです。
カイジファイナルゲームの結末ネタバレ!

任務を終えたメンバーたちはそれぞれ去っていき、カイジも自分の取り分となるアタッシュケースを選んで解散します。
大金を手にした(と思っている)カイジは、食堂で一杯1000円のビールを飲みはじめます。ここで「くぅ~~キンッキンッに冷えてやがる~!」という名台詞。
現金を確認しようとするカイジでしたが、そこには現金ではなくて大量のミネラルウォーターが詰まっていました。
ヤケクソになったカイジは更にビールを飲み、「悪魔的だぁ~!」と言って映画が終わります。
カイジ ファイナルゲームの「評価・評判・口コミ」
個人的には非常に面白かった本作。
ただ、SNSでは低評価な意見も見られたので、口コミの一部を紹介していきます。
「Twitter」を元に、映画を観た方の感想を調べてみました。
Instagramなど他SNSの評判も調べてみたので、それぞれの「評価・評判・口コミ」をご覧ください。
TwitterやInstagramの口コミ
- 実写版カイジシリーズは大好きだったので、最終作の見納めで観てきました。最後は他の映画で味わえない新しい映画の楽しみ方を知りました!
- 今までの作品見てたし、内容よりも藤原竜也を観に行ってる感が強いから楽しめた。やっぱり藤原竜也さん最高でした。そして吉田鋼太郎さんかっこいいわぁ。
- 面白かった!今作も福本先生が出演されていたとのこと!気づかなかったよ。
- 突っ込みどころは多々あれど、まあ面白かった!吉田鋼太郎の魅力大爆発でした。
- 見に行ってほんまに良かった!カイジ映画版は「香川さん=利根川」が好きなので、ファイナルゲームに出なかったのは悲しいですが。
- カイジファンの人や、藤原竜也さんが好きな人は是非見に行ってみてください!期待を裏切らない作品でした!
- 勝つとは思ってもやっぱりハラハラするし、スカッとする所もあってカイジ最高!そして福士蒼汰と真剣佑がカッコよかった。
- 楽しかったけど、カイジ人生逆転ゲームほうが面白いかも。
- ちょっとリアリティーが無いなーと思ってしまいました。
- カイジやアカギとか読んでるから観たけど、私の好みじゃなかった。
- 悪い評価があるのわかる内容だったけど、藤原竜也がカイジだったから良かった。
- 藤原さんが独特すぎてカイジと思えない。藤原さんとして観たほうが楽しめる。
- ギャンブルの内容と心理戦が少し物足りなかった。多分これを最初に見てたら普通に面白かったですが。
「カイジ ファイナルゲーム」のキャスト一覧
役名 | キャスト |
---|---|
伊藤開司(いとうかいじ) | 藤原竜也(ふじわらたつや) |
高倉浩介(たかくらこうすけ) | 福士蒼汰(ふくしそうた) |
桐野加奈子(きりのかなこ) | 関水渚(せきみずなぎさ) |
廣瀬湊(ひろせみなと) | 新田真剣佑(あらたまっけんゆう) |
黒崎義裕(くろさきよしひろ) | 吉田鋼太郎(よしだこうたろう) |
大槻太郎 | 松尾スズキ(まつおすずき) |
坂崎孝太郎 | 生瀬勝久(なませかつひさ) |
遠藤凛子 | 天海祐希(あまみゆうき) |
西野佳志 | 山崎育三郎(やまざきいくさぶろう) |
菅原太一 | 瀬戸利樹(せととしき) |
高瀬強士 | 前田公輝(まえだごうき) |
『最後の審判』挑戦者 | 篠田麻里子(しのだまりこ) |
渋沢総一郎 | 金田明夫(かねだあきお) |
東郷滋 | 伊武雅刀(いぶまさとう) |
「カイジ ファイナルゲーム」のスタッフ一覧
原作・脚本 | 福本伸行 |
---|---|
監督 | 佐藤東弥 |
脚本 | 徳永友一 |
音楽 | 菅野祐悟 |
製作 | 沢桂一、堀義貴、市川南、菊川雄士、角田真敏、山口雅俊 |
エグゼクティブプロデューサー | 伊藤響 |
企画・プロデュース | 藤村直人 |
制作プロデューサー | 渡邉浩仁、小泉守 |
撮影 | 小原崇資 |
照明 | 木村明生 |
録音 | 菊地啓太 |
美術 | 樫山智恵子 |
装飾 | 高橋光 |
編集 | 佐藤崇 |
VE | 弓削聡 |
VFXスーパーバイザー | 堀尾知徳 |
記録 | 初山澄乃 |
助監督 | 伊野部陽平 |
制作担当 | 芳野峻大 |
キャスティングプロデューサー | 杉野剛 |
企画・製作 | 日本テレビ放送網 |
制作プロダクション | 日テレ アックスオン |
配給 | 東宝 |
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「カイジ ファイナルゲーム」の評価

128分ある上映時間ですが、「最後の審判」の相手である黒崎や首相補佐官高倉に仕掛けたトリックのおかげで、長いと思わせることなく楽しめる作品です。
カイジの仕掛けたトリックは、今回も巧妙に張り巡らされています。
しかし、「最後の審判」で逆転勝利を果たす廣瀬の思いが詰まっている1枚の金貨。
「あそこまで重い秤が動かせるのか?」という疑問は残ってしまいます。
諸々張り巡らされたトリックも、確実な勝利を予想できないものです。
「ゴールドジャンケン」の時に「金塊を持たずにグーを出す」という作戦はあり得るとは思います。
ただ、高倉が「金塊の重さで腕の筋肉の動きがわかる(グーを出さないことがわかる)」というのもあまり釈然としませんでした。
「カイジ ファイナルゲーム」の考察と感想
「カイジ ファイナルゲーム」のテーマであろう「金を持たないクズでも、俺たちが日本であり、日本人なんだ」というメッセージ。
これが強く伝わってくるような脚本の作り方でした。
「トリックが弱い」と感じる本作ですが、藤原竜也の名演技によって映画を楽しめます。
「カイジ」じゃなくて「藤原竜也」として観た方が楽しめるかもしれません。
ある意味、今回もっとも見どころとなるのは、「キンキンに冷えたビールを美味しそうに飲む」藤原竜也さんではないでしょうか。
吉田鋼太郎さんは悪役ですが、「いい人」が出すぎていて悪役と思えないところもありました。福士蒼汰さんの演技がもっともハマっていた悪役と感じ、最後の対決にふさわしい敵だったと言えます。
「最後は裏切られてしまう」というカイジおなじみの結末ですが、最後の部分はあらかじめて知っていても楽しめます。
ぜひ実際の映像を楽しんでください。悪魔的に楽しめること間違いなし!