
総務省が推進する「テレワーク(リモートワーク)」。
コロナウイルスにより導入する企業は増えていますが、思うように進まなかったり、運用がうまくいかない企業も多いのではないでしょうか。
そんな中、株式会社ポップインサイトは「社員の9割以上がフルリモートワーク」で働いています。
ポップインサイトはほぼフルリモートで私もまだオフィス行ったことすらなく、入る前はITツールたくさん入れてるのかなと思っていました。
でも実際は使ってるの
・Slack
・Zoom
・Googleアプリ
のみで完結するしコミュニケーション不足も全く感じてないです!むしろコミュニケーション濃い気が。— きぬこ@ポップインサイト (@pop_kinuko) December 3, 2019
「社員の9割以上」と聞くと気になりますよね。
そこで今回は、株式会社ポップインサイトの「リモートワークに対しての取り組み」「リモートワークを導入したキッカケ」を紹介していきます。
株式会社ポップインサイトとはどんな会社?
2013年の1月に創業した株式会社ポップインサイトは、東証一部上場の株式会社メンバーズのグループ会社です。
オフィスは神奈川県横浜市。
社員の居住地は、北海道や四国など1都1道9県と全国に点在、フランス在住の社員もいます。
事業内容は「マーケティングリサーチシステムの運営」。
主にWebサイトやスマートフォンアプリの使い勝手を、「利用者目線で評価するサービス」を提供しているマーケティング会社です。
社員数は2019年の11月時点で72名(パートなど含む)、そのほとんどが「リモートワーク」で働いています。
「すぐにこの会社の求人情報が見たい!」という方は、同社のHP(以下のボタン)をご覧ください。リモートワーク・在宅勤務を歓迎ということです。
会社概要
会社名 | 株式会社ポップインサイト |
---|---|
代表 | 池田 朋弘 |
設立 | 2013年1月(事業スタートは2012年8月から) |
資本金 | 非公開 |
所在地(本社) | 神奈川県横浜市青葉区荏田西1-12-5-101 |
連絡先 | 企業ページのお問い合わせフォームまで |
スタッフ数 | 72名(パートなど含む)(2019年11月) |
事業内容 | マーケティングリサーチシステム運営 |
取引実績 | 非公開 |
運営会社のURL | 運営会社のURLはこちら |
リモートワークを導入したキッカケ
ポップインサイトは、世間が注目する以前からリモートワークを導入しています。
スタートのキッカケは、創業時一緒に仕事をしていたメンバーの一言でした。
「中国語を学習するために中国に行きたい」と主力メンバーから突然の一言。
中国勤務を希望した社員に対して、「辞められるのが一番困る」ということで「中国でいいから働いてみてよ」と提案したことが始まりです。
結果的に、問題なく仕事を継続できました。同時に「リモートワーク」に可能性を感じたキッカケにもなっています。
リモートワークを導入して感じたメリット
- 通勤時間を個人の時間に
- 採用力が高まる
- 知名度を上げやすい
- ライフワークバランスが取りやすい
- 個々の活動が可視化しやすい
- 固定費の削減に成功
ポップインサイトのリモートワークでは、これら6つのメリットをあげています。
順番に解説していきましょう。
1.通勤時間を個人の時間に
毎日の通勤時間を無くすことで、浮いた時間を有意義に使えるようになりました。
- 家族との時間
- 夕食の準備
- お出かけの時間
自宅で仕事をするため、時間にゆとりをもって確保できるようになったのです。
2.採用力が高まる
自社サイトや求人媒体で採用をしているポップインサイト。
採用費は月に3万という低予算にもかかわらず、優秀な方々から応募が得られています。
「リモートワーク」という働き方のおかげで、採用枠を広げることに成功したからです。
他社が真似できない採用方法を確立しつつあり、「育児・介護・地方」などの理由で、働きに出れない方の募集が可能になりました。
2014年にフルリモート正社員を初採用!
初のフルリモート正社員は、なんと「シングルマザー」。
選考の対象を、「その環境でしっかり力を発揮できる人」という基準で選考を進めた結果、初の正社員はシングルマザーの方に決まりました。
委託で発見!ビックリするほど能力が高い人材
社内業務を委託でお願いしている方の中に、能力が非常に高い方がいました。
その方は地方出身ということもあり、ポップインサイトで委託の仕事がなければ、コンビニでアルバイトを考えていたそうです。
このような事例があるため、リモートワークという働き方は、単純に採用枠が広げるだけでなく、「能力が高い人材」を採用できる可能性が一気に広がります。
3.知名度を上げやすい
リモートワークの先駆け的なポップインサイト。
2017年7月にNHKのテレビ番組「オイコノミア」で紹介されました。
また、2018年11月には総務省「テレワーク先駆者百選」にも選定されるなど会社の知名度は年々上昇しています。
4.ライフワークバランスが取りやすい
リモートワークの社員はもちろんですが、社長自ら出社するのも週に1~2回。
社長が率先してライフワークバランスを考えており、仕事と家族の時間を高いレベルで実現できています。
- 子どもとの時間
- 家事分担
「上司が帰るまで部下は帰れない」という考え方の会社は、まだまだ世の中にはありますよね。
しかしポップインサイトでは、会社のトップが率先して実践。
社員は、仕事もプライベートも「両立」できる環境になっているのではないでしょうか。
5.個々の活動が可視化しやすい
リモートワークの場合、「社員がなにをやっているのかわからない」という声を聞くことが多いです。
しかし、ポップインサイトではそのようなことがありません。
チャットツールで「細かく連絡を取り合っている」ため、各社員の動きが可視化されます。
この仕組のおかげで、「同じ空間で働いていたときよりも各自の状況が見やすくなっている」ほどです。
リモートワークのデメリットにあげられやすいこの問題。
ポップインサイトの仕組みが、解決策のヒントになるのではないでしょうか。
6.固定費の削減に成功
リモートワークを導入することで、固定費に削減に成功したポップインサイト。
- オフィスの賃料
- 光熱費
- 水道費
- 通信費
- 社員の交通手当
削減できた資金は、「給与」や「新規事業」など会社のために使用しています。
リモートワークを導入して感じたデメリット
さまざまなメリットを紹介してきましたが、「リモートワークの恩恵」はまだまだありそうですよね。
しかし、リモートワークは良いことばかりではありません。実際に働く中で、どのような部分がデメリットと感じたのか?
3つほど紹介します。
- 働きすぎしてしまうこと
- 一体感を得られる機会が少ない
- コミュニケーション
これらデメリットについても、ひとつずつ解説していきます。
デメリット1.働きすぎしてしまうこと
リモートワーク導入で「休む判断が難しく、体調不良でも無理をしてしまう」という事案が発生。
「休んで」「有給を使って」と促してはいましたが、社員が真面目なこともあり、なかなか取ってはくれませんでした。
しかし、社長自ら率先して「休み」を取ることで「休みをとりやすい環境」を作り出すことに成功。この問題を解決できました。
「休んでいい」風潮を、会社のトップがいち早く実践した結果、社員がほぼ全員休んでくれることに成功したのです。
社員のことをしっかりと考えている会社だからこそ、「リモートワーク=仕事」が円滑に進められているのではないでしょうか。
デメリット2.一体感を得られる機会が少ない
出社型な会社のほうが一体感は生まれやすいですよね。
リモートワークは「一体感を得られる機会が少ない」のは事実です。
しかしポップインサイトでは、「強いて言えば」くらいの問題と捉えています。
デメリット3.コミュニケーション
リモートワークで風通しを上げるためには、publicなコミュニケーション率を維持するのが大事
public前提にすることで、
・節度をわきまえたコミュニケーションができる
・各自の動きが見えやすい
・その結果、信頼関係が生まれやすい
・経営者視点で、解像度高く状態がわかる
という良い面がある pic.twitter.com/3FxdhNCZ34— 池田 朋弘@ポップインサイト (@pop_ikeda) March 19, 2020
リモートワーク最大の障壁といっても過言ではない「コミュニケーション問題」。
今でこそコミュニケーションをスムーズに行えていますが、リモートワークを導入した当初はうまくいかなったそうです。
リモートワークにおけるコミュニケーションには、2つのマインドが必要だと社長は言っています。
(数千人単位でリモートベースの仕事をしてきた経験が元になっているそうです)
- 「気づいて、察して」という期待は持たない
- こまめにレスポンスする
チャットツールやオンライン会議ツール。
ポップインサイトでは、こういったツールでコミュニケーションを取っています。
そこには前述した「2つのマインド」がベースになっているとのこと。
さらに、コミュケーションを円滑にするための「テクニック」もあります。
- チャットツールで自分専用チャンネルを作り、細かいことでも発信する
- アイコン・スタンプは徹底的に使用する
- ネガティブな指摘は直接
具体的にはどういうことか?ひとつずつ見ていきましょう。
自分専用チャンネルで細かいことでも発信!
ポップインサイトでは入社直後に、チャットツールで「自分専用チャンネル」を作ります。
- 「どこで発信すればいいのかわからない」
- 「誰かにわざわざ相談するほどではない」
こういった内容は、いったん自分専用チャンネルで発信するという方法です。
真面目な内容からプライベートなものまで、さまざまな内容を投稿。
それを見た社内の誰かが反応し、アドバイスやアイデアをくれます。
これを社内版Twitterとも呼んでおり、このチャンネルのおかげで「自然と社内が活性化した」ということです。
リモートワークの会社に入社した場合、通常の会社よりもコミュニケーションは積極的に取りたいもの。
新入社員に対してコミュニケーションのハードルを下げる意味でも、この方法はぜひ試してほしいです。
アイコン・スタンプは徹底的に使用する
「こまめにレスポンス」をするための重要なツールが、アイコンやスタンプ。
表情や声のトーンが伝えられないチャットツールでは、文章のみで返信した場合、相手に「冷たい」と勘違いされやすいです。
また、完全に独り言のような「返信する必要がない投稿」にもスタンプは効果的と言っています。
「社風によって使いづらいケース」においては、「トップダウンで活用促進」と言っているほど重要なテクニックです。
アイコン、スタンプをちょっと意識するだけで、社内が劇的に変わるなら使わない理由はありません。
ネガティブな指摘は直接
ポップインサイトでは、「ネガティブな指摘は、チャットではなく電話 or オンライン会議ツールを使う」というルールにしています。
チャットではデータとして残るので、後に見返したとき、「思い出しネガティブ」になりやすいためです。
また、画面キャプチャを取られ、流出する恐れも否めません。
加えて、チャットでは「冷たい」印象になるためです。
※「アイコン・スタンプ」の項目と同様です
お互いが気持ちよく仕事をするために、このルールが誕生しました。
「指摘の仕方」ひとつとっても、非常に細やかな配慮がされており、思いやりがありますよね。
参考にできる部分は取り入れてみたい仕組みです。
リモートワークを成功させるオモシロ施策
ポップインサイトでは、リモートワークをより良くするためにさまざまな施策を行っています。
- 働き方ギャップアンケート
- オンライン部活
- リモートランチ会
- アフターセブン断り放題制度
これらを順番に解説していきます。
働き方ギャップアンケート
毎週、社員一人ひとりに「働き方ギャップアンケート」を実施しています。
アンケート内容はこのようなものです。
ギャップがあればすぐに改善する仕組みになっており、リモートワークを円滑にするための施策となっています。
オンライン部活
「オンライン部活」とは、チャット上に専用チャンネルを作り、そこで活動しています。
社員同士の趣味について語り合ったり、ママさん社員が子どもに作るお弁当のアイディアを出し合ったりと、オンラインで積極的にやり取りをしています。
オフィスに出社しないリモートワークならではの施策ではないでしょうか。
リモートランチ会
新入社員が入社してきた際に行う「リモートランチ会」。
オンライン会議ツールを使い、画面共有をしながら皆でお昼を食べるという施策です。
普通に仕事をしていると知り得ない「どうでもいい話」が知れると好評なようです。
アフターセブン断り放題制度
「定時以降の時間帯に行われる仕事は断り放題」というもの。
この制度を作った意味には、「定時以降は自分の好きなことをやりなさい」というメッセージが込められています。
自宅で仕事をしていると、プライベートとの境界線があいまいになりがちです。
仕事中はオンラインで繋がっているため、勢いそのまま参加してしまう(参加せざるを得ない状況)ことになりかねません。
それを回避するためにも、「断り放題」を作ったポップインサイト。
「どこまでも社員を大切にする会社の姿勢」
見習うべき姿なのかもしれません。
全社員が一堂に会する機会

ポップインサイトでは、半年に一度、全社員が一堂に会する「OMIAI」と呼ばれる機会を設けています。
この狙いは、「社員同士の親近感を高めて、話やすくするための仕掛け」です。
普段は顔を合わせない社員間。
そのコミュケーションを促進させる仕掛けで、会話は大盛り上がりするそうです。
部署の垣根も超えていろいろな人と会話するため、コミュケーションの向上はもちろん、「会社としての一体感」が増すのではないでしょうか。
「半年に一度」という回数の「希少性」も、コミュケーションを促進させる材料になっています。
このベースとなる部分をおろそかにしてしまうと、会社や個人としての成長は期待できないでしょう。
この会社が、どんな手段を使ってコミュニケーションを促進させていくのか?
注目していきたいですね。
北海道にサテライトオフィスを開設
リモートワークの先進企業として、より地域連携を強化するための取組の一つとして、北海道紋別にてサテライトスペースをお試しスタート!
『本社は田舎に限る」という本で「東京では百万分の一の存在に過ぎないが、地方では1人1人として扱われる」という記載があるが、そのことをまさに実感中 pic.twitter.com/s1wnxREQOk
— 池田 朋弘@ポップインサイト (@pop_ikeda) September 21, 2019
2019年9月。
新たな試みとして、北海道紋別市にサテライトオフィスを開設しました。
- 地方の雇用促進
- 地域の活性化
- 観光地での休暇を兼ねたワーケーション
同年の11月には、社長を含む役員4名と3組の社員が子連れで滞在し、普段とは異なる環境で仕事に取り組みました。
地元の「行政・企業」とも関係性を深めていることもあり、「新規事業」にもつながる良い機会になるのではないでしょうか。
いろいろな形で可能性を広げていくポップインサイト。
まさに「リモートワークのお手本」といった会社ではないでしょうか。
ポップインサイトの今後
導入当時、「リモートワーク」という働き方は何もかもが手探り状態でした。
それでも試行錯誤を繰り返し、現在の働き方を作り上げたようです。
企業が成長していくためには、仕事内容はもちろん、それと同じくらい一緒に働く「社員」も重要になってきます。
- 場所の制約
- 時間の制約
- 環境の制約
これらの理由で働けない優秀な人材は、日本各地にまだまだたくさんいます。
しかし、同社のリモートワークという確立された働き方を武器に、「これまでになかった新しい活躍の場」を提供していくことでしょう。
「会社と社員がWIN-WINの関係に。」
その努力を怠らない同社に、今後も注目です。
リモートワークにこだわって働きたい方は、ぜひポップインサイトの採用ページをご覧になってください。