今回紹介する「株式会社ソニックガーデン」。
10年前からリモートワークの体制を準備し、全社員が在宅で働いている会社です。
(会社URL:https://www.sonicgarden.jp/)
同社はリモートワークが世間に浸透していない頃から「準備・実施」しており、その手法に注目が集まっています。
コロナウイルスの影響で、急遽リモートワークになった企業も多い中、モデルケースとなるソニックガーデンを紹介していきます。
株式会社ソニックガーデンとはどんな会社?
2011年7月に創業したソニックガーデン。
現在は本社オフィスがなく、社員全員がリモートワークで働く企業です。
2020年3月時点で社員数は42名、全国18都道府県にメンバーが点在。
事業内容は主にソフトウエア開発、「納品のない受託開発」という月額定額の開発スタイルです。
社内で生まれたリモートワーク関連のサービスもたくさんあります。
- ラクロ―
PCやメール、カレンダーなどの各種ログを収集し、労働時間を算出するツール - F-Chair+(エフチェアプラス)
業務時間の記録・画面キャプチャを通して「何をしているか」を可視化するツール - Remotty
リモートワークをサポートするツール
上記であげたサービス以外にも、数多くの便利なサービスがあります。
気になる方は参考URLをご覧ください。
(参考:ソニックガーデンの自社サービス)
会社概要
会社名 | 株式会社ソニックガーデン |
---|---|
代表 | 倉貫義人 |
設立 | 2011年7月1日 |
資本金 | 非公開 |
所在地(本社) | 東京都世田谷区奥沢7-5-13-201 |
連絡先 | 企業ページのお問い合わせフォームまで |
スタッフ数 | 42名(2020年3月時点) |
事業内容 | クラウドで動くウェブアプリケーションの受託開発 |
取引実績 | 非公開 |
運営会社のURL | 運営会社のURLはこちら |
リモートワークを導入した時期とキッカケ
大手企業の社内ベンチャーとして始まったソニックガーデンですが、スタート当初からリモートワークだったわけではありません。
一緒に働いていたメンバーの「仕事を続けながら海外で働きたい」。
この思いを応援する形で導入したのがはじまりです。
段階を踏みながら準備したこともあり、特に大きな問題はなく導入に成功したとのこと。
リモートワーク導入のステップ
リモートワークを成功させるためには、一気に導入するのではなく「少しずつ試しながら」が重要なポイントになります。
ソニックガーデンは、「導入前の準備・導入後の改善」を少しずつ行うことで、現在の働き方を確立させていきました。
それではどんな改善点をしてきたのか?以下の8項目を紹介していきます。
- ペーパーレスへの取り組みを開始
- クラウド化への取り組み
- 連絡手段をメールからチャットへ移行
- 時差問題の解決
- 音声は繋ぎっぱなし
- バーチャルオフィスの導入
- 全社員リモートワークでオフィス撤廃
- オンラインファーストに
1:ペーパーレスへの取り組みを開始
最初に取り組んだのは、紙の書類を使った仕事をなくすこと。
会社立ち上げ当初は社員数も少なく、「会議などで使用する資料は必要ない」という判断になりました。
紙の必要性が少なかったこともありますが、「会社にコピー機を置かない」という、普通の会社では考えられないことを実施しています。
契約書の原本を管理することはありましたが、紙を扱った仕事はほぼなくなりました。
2:クラウド化への取り組み
「紙を使わない=クラウド化」に取り組み始めます。
所属会社のデータセンターを利用することもできましたが、コストがかかるため断念。
そこで選択したのが、すべてをAWS(Amazon Web Services)で構築してサービスを提供するという方法。
あらゆるデータを会社に依存することをやめた結果、クラウド化することができたのです。
3:連絡手段をメールからチャットへ移行
チャットを使用するようになったのが2010年頃。
当時、社内ではSkypeのチャットで連絡を取り合っており、この時期にメールの使用をやめたようです。
連絡を取り合うことにスピード感を求め、自分たちの使いやすさを追求。
その結果、独自のツール「youRoom」が開発されました。
- 件名なしで本文のみ
- あえて文字数制限あり
- 階層型にコメントができる
- 参加者設定OK
- アーカイブ機能あり
youRoomを使用したことで、社内コミュニケーションは格段に良くなりました。
10年前からチャットツールを自作している点から見ても、リモートワークを先駆けしている企業と言って過言ではありません。
4:時差問題の解決
「仕事を続けながら海外で働きたい」というメンバーからの希望。
それを応援する形でリモートワークを開始したと前述しました。
すでにコミュニケーションが十分だったこともあり、支障はなかったようです。
しかし、ここで「時差問題」が起こります。
行先のアイルランドと日本の時差は9時間。
この差を埋めるために、早朝から仕事を開始することで調整したのです。
5:音声は繋ぎっぱなし
株式会社ソニックガーデンが中途採用を開始した時期、社内メンバーがすでに海外でリモートワークを実践していたこともあり、「通勤」は考えずに日本全国から募集しました。
結果、兵庫県の方を採用し、最初からリモートワークを試したようです。
初めてのケースということもあり、いくつか工夫をしました。
この方法は、存在感も感じられて良かったようですね。
6:バーチャルオフィスの導入
前述した「音声は繋ぎっぱなし」という方法。
リモートワーカーが増えたことにより、問題が起こって使用を中止します。
このときが2014年、当時登場したSlackを試してみたものの「理想のコミュニケーション」を実現するためには難しいと断念しています。
そこで、理想のコミュニケーションを実現するために、独自ツールを開発します。バーチャルオフィスの「Remotty」です。
- 顔見ながら働ける
- いつでも雑談できる
- ちょっと相談できる
- 物理的な制約がない環境
会社として重要視していた「情報を伝えないときも一緒に働いている感覚」。
いつでも繋がっている状態をオンラインの世界に作ったのです。
(参考:離れていても一緒に働ける!仮想オフィスツールRemotty)
7:全社員リモートワークでオフィス撤廃
Remottyが開発されて以降、全社員がバーチャルオフィスでコミュニケーションをするようになりました。
このタイミングで、「出社の定義」も2つになります。
- 物理出社:実際のオフィスに出社すること
- 論理出社:バーチャルオフィスに出社すること
社員の人数も増え、渋谷に大き目のオフィスを借りましたが、ここで逆転現象が起こりました。
リモートワークで働く社員が増えていき、実際にオフィスに出社する社員が少なくなったのです。
この状況を受け、思い切って「全社員リモートワーク」ということにしました。
そして2016年、オフィスを完全撤廃したのです。
オフィスはなくなりましたが、使用したいときに使える「ワークプレイス」と呼ばれる場所を、全国3か所に借りています。
8:オンラインファーストに
こうしてソニックガーデンの社員は、毎日バーチャルオフィスに出勤しています。
先日行われた「入社式」もバーチャルオフィスで行いました。
明日4/1は、ソニックガーデンでも入社式を行います。一昨年から入社式はオンラインで行っています。オンラインを先に考える発想「オンラインファースト」でいきましょう。 link:リモート入社式に見る「オンラインが先」の発想 〜 リモートワークを成功させるシンプルな法則 https://t.co/7MgDiKYInG
— Yoshihito Kuranuki / 書籍:ザッソウ「雑談+相談」 発売中 (@kuranuki) March 31, 2020
コロナウイルスの影響で活動自粛が続く中、柔軟な対応を披露する形となりました。
リモートワーク導入による好影響
物理的自由になり、通勤というストレスから解放された結果、働き方・生産性にも好影響が出ているといいます。
働き方の変化
リモートワークのため、働く場所はどこでもOK。
そのうえ完全フレックス制のため、出社時間も自由。
こういった働き方により、生産性に変化が出てきています。
厳密には計測していませんが、生産性はむしろ上がっている気がします。
(参考:NewsPicks)
社長自ら実感していることから、リモートワークの恩恵は間違いないようです。
無駄な時間がなくなり、その浮いた時間を仕事や自身の時間に使えることから、パフォーマンスを最大化できているのでしょう。
管理しない“マネジメント”
10年前からリモートワークの準備を開始しており、マネジメントにおいても独自の考えを持つソニックガーデン。
書評ありがたいです。 link:書評「管理ゼロで成果はあがる~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう」|西原雄一 @nishi19 #note #おうち時間を工夫で楽しく https://t.co/QcuWsYzGv4
— Yoshihito Kuranuki / 書籍:ザッソウ「雑談+相談」 発売中 (@kuranuki) April 10, 2020
ソニックガーデンでは、部署もなければ管理職もいません。
「社員全員が管理職相当」の仕事をしているというのです。
また、ノルマもなければ売上目標もありません。
社長を筆頭に、立ち上げ当初から築き上げた「仕事に対しての考え方」。
これらを求めなくとも、社内に浸透されているようです。
顔を合わせないからこそ行事が大切
年に1度、日頃の感謝をこめて社員の家族も「社員旅行」へ行っています。
「仕事」と「遊び」に関しては、まったく考え方が違うのです。
遊ぶために集まる=価値がある
遊ぶことで仕事とは違った一面が見れますし、何よりその人のことをもっと知ることができます。
仕事上の付き合いだけでなく、プライベートの関係も大切にしていることがよくわかりますよね。
リモートワーク導入に大切な考え方
多くの会社で、リモートワークに課題を持つ現在。
スムーズに導入できれば何も問題ありませんが、準備が整っていない状態でスタートした会社も多いでしょう。
リモートワークを成功させるためのポイントは、「チーム全員で取り組む」「雑談のできる環境を整える」「働く時間を揃える」の3点です。
(参考:THE21)
このように言及するのは、同社の倉貫義人(代表取締役)さん。
リモートワークの基盤が作られているため、今後も働きやすい会社へとなっていくのではないでしょうか。
「ソニックガーデン社で働きたい!」そんな方は、以下のページから求人情報をご覧になってください。
「リモートワーク」に注目が高まりつつある今だからこそ、働き方を見直してみてはいかがでしょうか。