映画『君の名は。』大ヒットの理由を考察!5つの視点から分析

(C)2016『君の名は。』製作委員会

今やヒットメーカーとも言える「新海誠監督」
その大ヒットは、アニメ映画『君の名は。』からはじまりました。

日本のみならず、海外120国以上で上映され、興行収入250億円以上を記録しています。
『君の名は。』がここまでヒットした要因はどこにあるのでしょうか?

  1. 観客の感情変化
  2. 宣伝方法
  3. ネットでの拡散
  4. 作品そのものの素晴らしさ
  5. 音楽の魅力

多くの要素が成り立ってヒット作となりましたが、今回は上記5つの視点から考察していきたいと思います。

1.観客の感情変化

新海監督はインタビューの中で、「観客の気持ちの変化をシミュレーションした」と語っていました。

  • このシーンで観客は喜ぶ
  • ここでは涙腺を刺激される
  • この場面では少し間を作って理解や感情を落ち着かせよう

様々なことを考えて作劇しているのです。

新海監督はその観客の感情を、劇中の時間経過に合わせてグラフにしています。
そのグラフは過去、ツイッターで少し公開してくれました。

このグラフを見ると、右肩上がりではなく波打っているのがわかります。
ただ盛り上げるだけではなく、落ち着かせるシーンを設けているのですね。

そして、何回も改稿を重ねていることも伺えます。
観客の感情を完全に推測することで、胸に迫るドラマを作っているのです。

2.宣伝方法

前作(言の葉の庭)までは、予告編の映像などをすべて監督自身が「編集・作成」しています。

しかし『君の名は。』では、初めて新海監督の手から離れ、東宝の宣伝担当者が予告編映像を制作。

出来上がった予告編映像は、入れ替わった直後の2人に焦点を合わせ、「これからどうなるのだろう」と期待を持たせる作りになっていました。

新海作品の特長である、美術の美しさもふんだんに盛り込まれています。

新海監督とはまた違う、「宣伝のプロ」が作った映像も、客を引き付けた要因の1つだったのではないでしょうか。

一方で、前作『言の葉の庭』と同じ宣伝方法もしています。

『言の葉の庭』では、わずか23館だけの上映で興行収入1億円を超えました。その成果を生かし、『君の名は。』でも同様の手法をとったのです。

もともとの新海ファンには、「新作が公開される」というアプローチに。
新海監督の名前をそれまで知らなかった層には、「どんな監督なんだろう」と興味を持たせることができます。

この方法は、結果を見ると大成功したと言えるでしょう。

3.ネットでの拡散

現在において、映画を観た人たちによる話題拡散も見逃せません。

『君の名は。』の感想は、Twitterやブログで多くの人が書き込んでいます。これは興行側のキャンペーンではなく、観た人が自主的に書いたものです。

『君の名は。』は作品自体が素晴らしかったり、途中で大きな展開があったりと、感想を書きたい要素がたくさんありました。

最近はネタバレを回避したり、逆に冒頭で「ネタバレあり」と明記するネット文化があります。

ネタバレを気にしない人は、結末まで知ったうえで「面白そう」と興味を持ち、ネタバレなしの記事を読んだ人は、「この先どうなるんだろう?」と、やはり興味を惹かれるのではないでしょうか。

しかもSNSでの拡散は、日頃アニメに興味がない人たちにまで届きます。

実際に観た人が書き込んだ『君の名は。』の感想は、アニメファンの枠を飛び越えて多くの人に届き、映画館に足を運ぶ要因になっているのではないでしょうか。

4.作品そのものの素晴らしさ

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

どんな宣伝方法をしても、映画が駄作であればどうしようもありません。

『君の名は。』が素晴らしいアニメ作品であることは、観た人ならばご存じのことだと思います。

  • ラブストーリーとSFを見事に融合させたストーリー
  • 安藤雅司さんと田中将賀さんによる、親しみを持てるキャラクターデザイン
  • 思わず目をひく美しい作画
  • 印象的な数々の美術
  • キャッチーな主題歌

端的にいうと、本作にはこのような魅力があります。傑出した作品にはさまざまな魅力があり、『君の名は。』も例外ではありません。

各種さまざまな要素が絡み合って、『君の名は。』という素晴らしい作品ができあがっています。

5.音楽の魅力

RADWIMPS
出典:RADWIMPS

アニメ映画『君の名は。』では、ボーカル曲だけでも『前前前世』を含めて4曲あり、どの曲も作品世界にマッチしています。

おそらく『君の名は。』=『前前前世(RADWIMPS)』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

新海監督はもともとRADWIMPSのファンでした。

RADWIMPSは脚本段階から曲を作っていましたが、監督からNGが出たこともあったそうです。お互いに忌憚のないやりとりをして、名曲の数々が生まれたのではないでしょうか。

その曲たちが単なる劇伴におさまらず、『君の名は。』の魅力に大きく寄与していることは、映画を観た人なら納得できるはずです。

そして曲がヒットしたことで、「曲から『君の名は。』に興味を持った」「RADWIMPSのファンだから映画を見た」という人が、SNSでは大勢いました。

こういった背景からも、RADWIMPSの音楽が映画ヒットに貢献したことは間違いないと言えます。

新海監督はRADWIMPSの曲を重要視しているのか、次作の『天気の子』でも主題歌に起用しました。

RADWIMPSメンバーの野田洋次郎さんは、『天気の子』では音楽監督まで務めています。

『天気の子』でも再現したヒットへの仕掛け

『君の名は。』が大ヒットになったことで、「SNSでは次作がどのような形になるのか?」とファンが心を踊らせていました。

新海監督はその期待に応え、『君の名は。』のヒット要因を単発で終わらせず、再現性を持って『天気の子』へと繋げました。

これは監督だけでなく、スタッフ・関係者を含めて優秀なメンバーが揃っているとも言えます。

映画作品を消費者の鑑賞行動へ繋げていくという本作の「仕組み」は、映画業界へ大きく貢献したと言えるのではないでしょうか。