映画『君の名は。』あらすじ・ネタバレ・考察!大ヒットした理由と魅力を合わせて解説!

君の名は。
新海誠監督の代表作『君の名は。』
ビッグヒットがなかった日本映画界の歴史を塗り替え、本作は250億円の大ヒットを記録しました。

2016年8月26日に公開され、全世界でも約4億ドルの興行収入を記録したモンスター映画です。

上映時間は107分。
2時間にもいかない時間の中で、驚くほどのカタルシスを与えてくれる作品です。

本作品で新海監督のことを知った方も多いのではないでしょうか。
国民的映画となった『君の名は。』によって、新海誠監督は日本を代表するアニメ映画監督となりました。

今回の記事では、映画『君の名は。』の紹介と解説(以下内容)をしていきます。

記事の内容

「あらすじだけ知りたい!」という方は、作品概要と見どころだけを、「ネタバレありで読みたい!」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

本記事の詳細は、目次(以下)の「開く」を押すとご確認いただけます。

目次

映画『君の名は。』の作品概要

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

「まだ会ったことのない君を、探している」

糸森村という田舎に住む高校生の三葉(みつは)は、都会に憧れて「東京のイケメン男子にしてほしい!」という願いを口にします。

すると、三葉は男の子になる夢を見るように。

一方、東京の高校生・瀧(たき)も田舎の女の子になる夢を見るようになりました。
2人は入れ替わっていたのです。

そのことに気づいた2人は、相手とコミュニケーションをとるために、メモを残してやり取りをするように。

ケンカをしながらも、仲を深めていく2人でしたが、ある日その入れ替わりが無くなってしまい・・・

端的に言えば、「時空を超えた想い」がテーマ。

時間も場所も違うところに住んでいる2人の想いが、時間も場所も超えて危機を乗り越えていく物語です。

公開日2016年8月26日
上映時間107分
興行収入250.3億円
監督新海誠
音楽RADWIMPS
キャスト神木隆之介 上白石萌音 谷花音 市原悦子
公式サイト映画『君の名は。』
動画視聴動画配信サービス
予告動画
(YouTube)
『君の名は。』予告動画
関連作品新海監督・映画作品一覧

映画『君の名は。』の見どころ※ネタバレなし

「入れ替わってる!?」だけじゃない、もう1つのSF的展開

『君の名は。』といえば、「入れ替わってる!?」というセリフが有名ですよね。見たことのない人でも、「男女の体が入れ替わる話」という内容を知っているのではないでしょうか。


しかし『君の名は。』が面白い構造になっているのは、ただの「男女が入れ替わる物語」と思わせておいて、もう1つのSF的ギミックが仕込まれているところ!


物語の途中でそのギミックが判明して、物語は予想と違う方向へと向かい出します。新海監督の『ほしのこえ』や『雲のむこう、約束の場所』でも見られたSF趣味が、本作でも十分に発揮されています。

テンポよい映像とRADWIMPSのコラボ

『君の名は。』では映画だけではなく、RADWIMPSによる主題歌『前前前世』もヒットしました。キャッチーなRADWIMPSの曲ですが、映像とも非常にマッチしています


特に女子高生・三葉と男子高生・瀧の2人が、自分たちの身体が入れ替わっているのに気づくシーン。それに合わせて、RADWIMPSの曲が流れます。入れ替わった2人がどのような生活を送るのか。その様子が曲に合わせて、テンポよく描かれます。


この生き生きとしたキャラクター描写と曲のコラボは、『君の名は。』の大きな見どころの1つです。

瀧と三葉、2人の恋の行方は・・・

恋愛描写、特に思春期にある「少年・少女」の心情表現に定評がある新海監督。その恋の行方は、別れに終ってしまったり、成就を感じさせるものだったりと作品によって違います。


『君の名は。』では途中でストーリー転換があり、物語が大きく動きます。
しかし、視聴者の興味は大きく言うと、結局「三葉と瀧の関係はどうなるのか」に集約されます。


過去の新海作品を知っていればいるほど、「あの作品ではこうだった、でもあの作品では…」と予想を楽しみながら見ることができます。

『君の名は。』を動画配信サービスで視聴

今回の記事では、映画『君の名は。』が視聴できる動画配信サービスを紹介していきます。新海誠監督の出世作でも映画『君の名は。』2019年に公開された『天気の子』と共に、アニメ映画としては驚異的な興行収入を記録しています。[…]

君の名は。

映画『君の名は。』のネタバレ(あらすじ)を解説!

ここから先は、ネタバレありのあらすじを解説していきます。

『君の名は。』をこれから視聴する方は気をつけてください。

『君の名は。』入れ替わる三葉と瀧

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

岐阜県の糸守町という田舎に住む高校生の三葉(みつは)は、ある男の子に「名前は三葉」と言われる夢を見て、目を覚まします。

起きてみると、昨日三葉の様子がおかしかったということを祖母の宮水一葉(みやみずひとは))や妹・四葉(よつは)、友人の勅使河原(以下、テッシー)・早耶香(以下、サヤチン)に言われます。

昨日の記憶がない三葉は、とまどいながら学校で自分のノートを開くと「お前は誰だ?」というメモ書きを見つけました。

自分に何かが起こっている。
そう思いながらもいまだにはっきりとした記憶がよみがえってきません。

三葉は、代々継承されてきた巫女の儀式をしながら、高校に通っていました。

ただ、高校生の彼女にとって自分の口で噛んだものを吐き出して、酒を造る「口噛み酒」を造るのが嫌で嫌で仕方がありませんでした。

しかし、代々続く儀式を自分のわがままで無くすこともできず、こんな状況にも耐えられない三葉は、こういう伝統儀式がないところに行きたかったのです。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

翌日、三葉は目を覚まします。
すると、なぜだかわかりませんが、見知らぬ男の子の姿になっていました。

一方、三葉が入れ替わった高校生・瀧(たき)も目覚め、見知らぬ女の子の姿になっていることに気づきます。

それからも頻繁に入れ替わることになった2人。
調べてみると、週に2~3回のペースでこの入れ替わりが起こることに気づきました。

しかも、これは実際に起きているリアルな現実の出来事でした。

目が覚めてしまうと記憶が薄れてしまうため、三葉と瀧はお互いに連絡を取り、どうしようもない入れ替わり現象を円滑に過ごすために、ルールを決めていきました。

その生活は2人の楽しみとなっていくのです。

時空を超えて入れ替わっていた2人

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

ある日、三葉=瀧は、宮水神社の御神体がある場所に連れて行かれました。

祖母は三葉に「口噛み酒」を御神体にを供えるように言い、そして、伝えます。
「それは三葉たちの半分だ」

瀧は自分の身体に戻ってきていました。
その日の朝、奥寺先輩からメールが届き、その日デートをすることになっていたのです。

これは三葉の仕業でした。
はじめてのデートに緊張をする瀧。

奥村先輩との間には会話もあまりなく、先輩から「ほかに好きな人がいるんだね」と言われてしまいます。

瀧は三葉に連絡を取りますが、つながりませんでした。
一方、三葉は瀧のデートが気になって、学校を休んで東京に来ていました。

そして、三葉と瀧は出会います。
楽しく会話が弾むだろうと思っていたのですが、瀧は三葉のことを知らない素振り。

三葉はとても大きなショックを受けてしまいます。

秋祭り。そして記憶を探しに

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

次の日、テッシーとサヤチンは三葉を地元の宮水神社の祭りに誘います。

トレードマークである三つ編みをばっさりと切っていた三葉。
2人は何が起こったかわかりませんでしたが、三葉とお祭りへ。

秋祭りのキレイな彗星が頭上を照らし、2人の入れ替わり現象は、この日以降無くなってしまいました。

その後、瀧は三葉の記憶がどんどん薄れていきます。

しかし、それまで糸森村の街並みの絵を一心不乱に描き続けていた瀧は、その絵を手に家を飛び出しました。

三葉を探すための旅に出るためでした。
そこを待ち受けていたのは、奥寺先輩と友人の司。

瀧の最近の様子のおかしさを2人は知っていたのです。

岐阜に到着し、瀧の絵を手掛かりに三葉の住む場所を探しますが、全然糸口が見出せません。

すると、あるラーメン屋の店主が瀧の絵に描かれた町の出身であることが判明します。
三葉が住んでいた場所は、糸守町という名前でした。

「3年前ティアマト彗星の破片が衝突し、町ごと消滅してしまっていたということ」を瀧は知ってしまうのです。

口噛み酒トリップ

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

瀧は近くにあった図書館で、当時の資料を調べはじめます。
3年前に起きた彗星落下事故は、500人を超える犠牲者の名前が掲載されていました。

犠牲者の中には、テッシーとサヤチン、三葉の家族、そして三葉の名前が載っていたのです。

死んだ三葉と最近入れ替わっていた、つながっていたはずなのにどうして・・・

瀧は次の日の朝、1人で宮水神社のご神体があった場所を訪れます。
そこは「この世とあの世の境がある」場所でした。

奉納した口噛み酒を飲めば、また入れ替わりが起きてくれる。
そう思った瀧は口噛み酒を飲みました。

すると、目の前に彗星が現れ、今までの記憶が瀧の脳内に侵入してきます。
瀧は目を覚ましました。そこは三葉の部屋でした。

瀧は入れ替わりを果たしたのです。
瀧が目覚めた日の夜に、糸森村は宮水神社の祭りを控えていました。

そう、それはティアマト彗星が落ちてくる日でした。
祖母曰く、「入れ替わりは彗星落下を防ぐためのもの」ではないかとのこと。

作戦会議と町長説得!そして片割れ時

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

「三葉=瀧」は奔走し、ある計画を立てました。
それは、糸守町にある発電所を爆破することでした。

テッシーが発電所を爆破する、そして、サヤチンが学校に忍び込み、街中に聞こえるように学校の放送室から放送をかければ住民は非難する。

テッシーとサヤチンを説得し、計画を実行に移そうと考えます。

しかし、住民は逃げてくれません。
町長である父親も説得しようとしましたが、ダメでした。

そこで、「三葉=瀧」は、御神体のある場所に向かいます、「瀧=三葉」に会うために。一方、「瀧=三葉」は目を覚ましました。

ここにいる理由は何もわかりませんでした。
辺りを見下ろすと、自分が住んでいた糸守町は無くなっていました。

過去の記憶を思い出し、2人は3年のズレがあったことに気づき、懸命にお互いを探します。
そして片割れ時(黄昏時)の終わりかけ、2つの時が重なる唯一の瞬間に、2人はやっと出会うのです。
それは一時でした。けど、やっと会えた。

目が覚めても2人のことを忘れないように、時空を超えても分かるように、2人はお互いの手に名前を書きます。

瀧は三葉の手に自分の名前を書きました。
しかし、三葉が瀧の手に名前を書こうとした瞬間、2人の会える時間は終了を迎えてしまったのです。

糸守町の壊滅

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

三葉の身体には三葉の心が帰ってきていました。

もう時間は残されていません。
糸守町の住人を非難させるため、瀧が考えた計画を実行します。

テッシーがダイナマイトで発電所を爆破、町を停電させることに成功しました。
そして、サヤチンが学校の放送室から町中に呼びかけます。

三葉もテッシーも必死にお祭りに来ている住民を避難させようとしますが、なかなか避難しません。

その時、サヤチンが町役場の役人に捕まり、町役場からその場で待機するようアナウンスが出てしまいます。

彗星の隕石が2つに割れ、糸守に接近してきました。
三葉は、再度父のところへ向かいますが、転んでしまいます。

三葉は、もうだめだと諦めそうになりました。
しかし、手を見ると、瀧の書いた「すきだ」の文字・・・

三葉は懸命に走って、父のいる役所の町長室に到着。
しかし、次の瞬間ティアマト彗星が落下し、町中を炎が燃え広がりました。

糸守町は史実通り壊滅してしまったのです。

『君の名は。』ラストシーン・エンディング

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

5年後。

瀧は大学生になって、就職活動の真っ最中。
三葉のこと、糸守町のこと、ほとんどの記憶を失っていました。

ニュースでは、3年前の糸守町の彗星が落下した日、ほとんどの住人が奇跡的に命を取り留めたという報道が流れています。

記憶にはありませんでしたが、そのニュースが気になって仕方がありませんでした。
瀧はカフェに立ち寄ります。

ある2人の声に気づきました、テッシーとサヤチンです。
しかし、記憶は戻りません。

それでも、糸守町の何かが気にかかる。
瀧は昔糸守町の図書館で行っていたように、彗星落下事件の資料をむさぼるように読んでいました。

そんな日々を過ごしていたある日、瀧は電車に乗っていました。
電車の外の風景を見ていると、併走する電車の女性と目が合います。

瀧は三葉を見つけたのです。三葉も瀧に気づきます。
降りる場所は違いました。ただ2人は記憶をたぐりよせるように、必死に相手を探します。

ある階段で2人はようやく再開を果たしましたが、名前も知らない相手に対してどう話しかけていいかがわかりません。

そのまますれ違い、再会はうまくいかなかったと思われたとき、瀧は三葉に声をかけました。

三葉は泣いています。
2人は同じタイミングで相手に声をかけました。

「君の名前は!?」

『君の名は。』のその後のストーリー

お互いがお互いの名前を尋ねるシーンで映画は終わりを告げます。
さて、その後の話はあるのでしょうか。

『君の名は。』の小説でも、その後のストーリーは明かされていません。
三葉と瀧は結婚したのか?お互いを思い出せたのか?

実は新海監督の次作『天気の子』に、三葉と瀧が出演します。
二人一緒にいるわけではありませんが、同じ東京にいるのです。

そして『天気の子』の原作小説では、「三葉と瀧が結婚したのでは?」と考察される部分が多々あります。

新海監督の遊び心である『君の名は。』と『天気の子』のコラボ。両作品のファンとしては、存分に楽しませていただきました。

『君の名は。』の感想

もともと有名だった新海監督ですが、『君の名は。』によってアニメや映画に興味がない層にも知られる存在になったと思います。

  • 思春期の繊細さをくみ取った物語
  • キャラクターの心情を託した美しい風景
  • SF要素を織り交ぜたストーリー展開

『君の名は。』は新海監督がそれまで培ってきた、「これらの要素」が高次元で融合した作品です。

印象深いシーンが多いのは、レイアウトもさることながら、作画陣の力量が多大な好影響を及ぼしていると思います。

宮崎作品でも有名な作画監督の安藤雅司さん、長井龍雪監督と組んだ作品でも人気のキャラクターデザイン・田中将賀さんなど、さまざまな実力スタッフが結集したのが『君の名は。』です。

キャラクターデザインから音楽、すべてにおいて新海誠監督の集大成と言える作品と言えるでしょう。

また、何度でも見たくなる考察ポイントが多く、5回6回と映画館へ行くのも理解できます。

『君の名は。』を考察!大ヒットした5つの理由

今やヒットメーカーとも言える「新海誠監督」
その大ヒットは、アニメ映画『君の名は。』からはじまりました。

『君の名は。』は、日本のみならず海外120国以上で上映され、興行収入250億円以上を記録しました。

『天気の子』でも再現したヒットへの仕掛け

『君の名は。』が大ヒットになったことで、「SNSでは次作がどのような形になるのか?」とファンが心を踊らせていました。

新海監督はその期待に応え、『君の名は。』のヒット要因を単発で終わらせず、再現性を持って『天気の子』へと繋げました。

これは監督だけでなく、スタッフ・関係者を含めて優秀なメンバーが揃っているとも言えます。

映画作品を消費者の鑑賞行動へ繋げていくという本作の「仕組み」は、映画業界へ大きく貢献しました。

それでは、ここまでヒットした要因はどこにあるのでしょうか。多くの要素が成り立ってヒット作となりましたが、今回は5つの視点(以下)から考察していきます。

1.観客の感情変化

新海監督はインタビューの中で、「観客の気持ちの変化をシミュレーションした」と語っていました。

  • このシーンで観客は喜ぶ
  • ここでは涙腺を刺激される
  • この場面では少し間を作って理解や感情を落ち着かせよう

様々なことを考えて作劇しているのです。

新海監督はその観客の感情を、劇中の時間経過に合わせてグラフにしています。そのグラフはTwitterで公開されていました。

このグラフを見ると、右肩上がりではなく波打っているのがわかります。ただ盛り上げるだけではなく、落ち着かせるシーンを設けているのですね。

そして、何回も改稿を重ねていることも伺えます。観客の感情を完全に推測することで、胸に迫るドラマを作っているのです。

2.宣伝方法

前作(言の葉の庭)までは、予告編の映像などをすべて監督自身が「編集・作成」しています。

しかし『君の名は。』では、初めて新海監督の手から離れ、東宝の宣伝担当者が予告編映像を制作。

出来上がった予告編映像は、入れ替わった直後の2人に焦点を合わせ、「これからどうなるのだろう」と期待を持たせる作りになっていました。

新海作品の特長である「美術の美しさ」もふんだんに盛り込まれています。

新海監督とはまた違う、「宣伝のプロ」が作った映像も、客を引き付けた要因の1つだったのではないでしょうか。

一方で、前作『言の葉の庭』と同じ宣伝方法もしています。

『言の葉の庭』では、わずか23館だけの上映で興行収入1億円を超えました。その成果を生かし、『君の名は。』でも同様の手法をとったのです。

もともとの新海ファンには、「新作が公開される」というアプローチに。

新海監督の名前をそれまで知らなかった層には、「どんな監督なんだろう」と興味を持たせることができます。

この方法は、結果を見ると大成功したと言えるでしょう。

3.ネットでの拡散

現代において、映画を観た人たちによる話題拡散・口コミ効果は見逃せません。

『君の名は。』の感想は、Twitterやブログで多くの人が書き込んでいます。これは興行側のキャンペーンではなく、観た人が自主的に書いたものです。

『君の名は。』は作品自体が素晴らしかったり、途中で大きな展開があったりと、感想を書きたい要素がたくさんありました。

最近はネタバレを回避したり、逆に冒頭で「ネタバレあり」と明記するネット文化があります。

ネタバレを気にしない人は、結末まで知ったうえで「面白そう」と興味を持ち、ネタバレなしの記事を読んだ人は、「この先どうなるんだろう?」と、やはり興味を惹かれるのではないでしょうか。

しかもSNSでの拡散は、日頃アニメに興味がない人たちにまで届きます。

実際に観た人が書き込んだ『君の名は。』の感想は、アニメファンの枠を飛び越えて多くの人に届き、映画館に足を運ぶ要因になっているのではないでしょうか。

4.作品そのものの素晴らしさ

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

どんな宣伝方法をしても、映画が駄作であればどうしようもありません。

『君の名は。』が素晴らしいアニメ作品であることは、観た人ならばご存じのことだと思います。

  • ラブストーリーとSFを見事に融合させたストーリー
  • 安藤雅司さんと田中将賀さんによる、親しみを持てるキャラクターデザイン
  • 思わず目をひく美しい作画
  • 印象的な数々の美術
  • キャッチーな主題歌

端的にいうと、本作にはこのような魅力があります。傑出した作品にはさまざまな魅力があり、『君の名は。』も例外ではありません。

各種さまざまな要素が絡み合って、『君の名は。』という素晴らしい作品ができあがっています。

音楽の魅力

RADWIMPS
出典:RADWIMPS

アニメ映画『君の名は。』では、ボーカル曲だけでも『前前前世』を含めて4曲あり、どの曲も作品世界にマッチしています。

おそらく『君の名は。』=『前前前世(RADWIMPS)』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

新海監督はもともとRADWIMPSのファンでした。

RADWIMPSは脚本段階から曲を作っていましたが、監督からNGが出たこともあったそうです。お互いに忌憚のないやりとりをして、名曲の数々が生まれたのではないでしょうか。

その曲たちが単なる劇伴におさまらず、『君の名は。』の魅力に大きく寄与していることは、映画を観た人なら納得できるはずです。

そして曲がヒットしたことで、「曲から『君の名は。』に興味を持った」「RADWIMPSのファンだから映画を見た」という人が、SNSでは大勢いました。

こういった背景からも、RADWIMPSの音楽が映画ヒットに貢献したことは間違いないと言えます。

新海監督はRADWIMPSの曲を重要視しているのか、次作の『天気の子』でも主題歌に起用しました。

RADWIMPSメンバーの野田洋次郎さんは、『天気の子』では音楽監督まで務めています。

作品の魅力と素晴らしさを徹底解説

(C)2016『君の名は。』製作委員会

『君の名は。』は、世界中でも絶賛された作品です。

新海監督は他の監督と違い、セリフを自身で撮り、絵コンテと合わせたビデオコンテというサンプルを最初に作ります。

このサンプルを観た役者が、文字で表現できない言葉と言葉の区切り方や間合いを理解しながら演じていきます。

インタビューで映像で表現することの難しさを話されていた、立花瀧を演じた神木隆之介さんと宮水三葉を演じた上白石萌音さん

『君の名は。』の魅力を解説するにあたり、まずは2人が起用された背景を解説していきます。

神木隆之介さんが起用された背景

今回「瀧役」で神木隆之介さんを起用したのは、オーディションではなく新海監督からのオファーだったと言われています。

新海監督は【瀧のまま三葉を演じてほしい】と考えていました。そのため、男だとわかっても観客が引かず、喜ばれる存在の役者を探していたようです。

(むしろ、女の子を演じていても納得するような惹かれる存在を探していました)

そこで芸歴25年の大ベテランですが、幼い時の可愛いイメージのまま中性的に成長した「神木隆之介」さんへ、白羽の矢が立ったとされています。

神木隆之介さんと言えば、役に染まってしまうカメレオン俳優です。

例えば『SPEC』で演じていた一十一(にのまえじゅんいち)。
『3月のライオン』で演じていた桐山零(きりやまれい)。
『るろうに剣心』で演じていた瀬田宗次郎 (せたそうじろう)。
それぞれイメージが違い過ぎます。

天才肌と言われる神木隆之介さんの役作りは、役作りというよりは「直観で感じたまま演じる」と言われています。

表面ではなく「この人物ならばどうするだろう?」と考え、感じたまま演じるのだそうです。

そんな神木隆之介さんが感じるまま演じた三葉が可愛かったので、上白石萌音さんが三葉を演じる時は、新海監督から「もっと可愛く」とリクエストがあったとエピソードがあるほどです。
(参考:『君の名は。』ダイジェスト

上白石萌音さんはオーディションで決定!

「三葉役」の上白石萌音さんは、オーディションで決められました。

新海監督は上白石萌音さんを見て、三葉のぼんやりとしてたイメージが鮮明になったそうです。ということは、上白石萌音さんじゃなければ違った三葉になってたかもしれません。

選んだ決め手として、彼女ならば「来世は東京のイケメン男子にしてください!のセリフを叫びそう」と新海監督が語っています。
(参考:アニメイトタイムズ

新海監督が求める瀧と三葉を追い求めたからこそ、世界的ヒット作品となりました。

上白石萌音さんはあるインタビューで、忘れられないシーンを「カタワレ時にはじめて2人が出会うシーン」と語っています。

何回もテイクを繰り返していた中、ほとんど撮り直しなく一発撮りだったので、その生もの感を感じてほしいとも話されていました。

カタワレ時とは?
『君の名は。』だけに存在する言葉です。夜でもない朝でもない時間帯にお互い居るのだと思わせます。劇中では、「黄昏が方言でなまってカタワレ時と言っている」とされています。

タイムラプスという手法

役者の凄さもありますが、『君の名は。』は映像のキレイさで絶賛されています。タイプラプスというのをご存知でしょうか。

簡単に言うと写真を低速度で撮影し、コマ送りのように繋げ、1本の動画のようにする方法です。

例えば24時間を数分にまとめるので、自分の目で見ている風景が、動画上では凄い速さで過ぎ去ります。そこには、計算されて作られていない神秘的な美しさがあります。

このタイムラプスのような手法で、『君の名は。』の風景は描かれています。

今までアニメの中では、この表現が難しいとされていました。

秒単位で変わる自然の変化を秒単位で表現することが出来ず、簡易的なものでしか表現出来ていなかったのです。

それが『君の名は。』では秒単位の変化で場面を描き、撮影を繰り返して作り上げました。秒単位で変わっていく影の濃淡さえも、技術スタッフは成し遂げたのです。

人物だけでなく、その人物が育った環境や時間の移り変わり。そういった繊細な部分も実現できたことで、より一層引き込まれる作品になりました。

『君の名は。』裏設定!あの2人が婚約!?

『君の名は。』
(C)2016『君の名は。』製作委員会

『君の名は。』には、裏設定というものが存在します。

瀧が憧れていた「奥寺ミキ先輩」。
瀧の友達でバイト仲間の「藤井司」。

「この2人が婚約したのではないか?」と思わせるシーンが最後にあります。

飛騨に向かう瀧を不審に思った奥寺先輩と司は、瀧に同行します。
ただ、このとき瀧を密かに思っていた奥寺先輩は、事実上振られてしまった形となりました。

その傷を癒したのが一緒にいた司ではないか?と憶測されています。

新海監督も『君の名は。』公式パンフレットで、「あくまでも裏設定ですが、司は奥寺先輩と婚約したものだと思っています」と話していました。

『君の名は。』の聖地紹介!あの階段はどこにある?

新海誠監督のアニメ作品は、実在のモデル(ロケ地)が存在します。それは過去作や次作『天気の子』でも同じです。

『君の名は。』でも多くの聖地があるので、有名な場面だけ紹介していきます。

三葉の故郷・糸森町=岐阜県の飛騨高山

三葉の故郷・糸守町

三葉の故郷である糸守町は、岐阜県の観光名所として有名な飛騨市がモデルです。

特に飛騨市古川町の辺りにロケ地とされた場所が点在しています。

三葉を探すために瀧達3人が降り立ったのは飛騨古川駅であり、糸森町の歴史を探るために瀧一行が出向いたのは、飛騨市図書館(劇中は「古川図書館」)。

その他、五平餅屋さんも飛騨古川駅にあります。
そして、劇中で度々登場する宮水神社は、飛騨市古川町の「気多若宮神社」がモデルになっています。

飛騨市古川町が謳っているように、『君の名は。』の世界が満喫できる街であることは間違いありません。

瀧と三葉が再会を果たす階段=須賀神社(東京)

三葉と瀧が再会を果たす階段

映画のポスターとしても使用されている場所、それが瀧と三葉が再会を果たす階段です!

何よりも映画のクライマックスで描かれる場所なので、『君の名は。』ファンの方もひとしお思い入れの深い場所であると思います。

映画が公開されて何年も経ちますが、今でも聖地巡礼するファンが多いロケ地です。

ポスターの背景に関しては、多少配給側の構成が入っているようですが、赤い手すりと階段は劇に出て来るそのもの。

モデルは、東京にある須賀神社です。

東京の地下鉄メトロ「四谷三丁目」から徒歩7分、JR中央線・総武線の「四ツ谷駅」か同線「信濃町駅」から徒歩10分のあたりにあります。

『君の名は。』主題歌「前前前世(RADWIMPS)」

『君の名は。』が大ヒットを記録した時、一番の注目は何といってもRADWIMPSの音楽でした。

主題歌は「前前前世」で数々のタイトルで1位を獲得。
ビルボードジャパン(2016年度)のHot100・Hotアニメーションでも、週刊チャートで1位の快挙を達成しました。

RADWIMPSは音楽全体を担当しており、「前前前世」以外にも「夢灯籠」「スパークル」「なんでもないや」など、主題歌に当たる4曲を制作しています。

RADWIMPSの音楽がなかったら、あの映画の完成度は達成されなかったと言えるでしょう。

全27曲のアルバム『君の名は。』では、2016年度のオリコン年間6位となっています。

生にこだわった音楽

最近ではパソコンで作り上げた音で表現することも少なくありません。

しかし『君の名は。』は、RADWIMPSが生バンド・生オーケストラにこだわって作った音楽です。

RADWIMPSに依頼をしたのは、「新海監督がファンだったから」と言われていますが、音楽を作る段階から新海監督は関わっています。

曲が完成し、生バンドや生オーケストラが演奏する時には、作品のイメージを新海監督の言葉で演奏者にも伝えています。

実際に新海監督がイメージを話すことで、微妙な強弱をつけたり表現を変えていけるのは、楽器を実際に演奏しているからです。

新海監督のイメージで変わったニュアンスですが、RADWIMPSの出来上がった曲で絵コンテが変わったとも言われています。

そして劇中ではサウンドとしてではなく、歌詞のある曲が4曲も流れています。歌詞がある曲が劇中に4曲も流れるのは、珍しいことです。

ですが歌詞があることで言葉がない映像にも意味を持ち、引き込まれやすい作品になっているのもたしかです。

『君の名は。』の小説を紹介!その他メディアミックスも!

君の名は。
(C)2016『君の名は。』製作委員会

本章では『君の名は。』のメディアミックス作品を見ていきましょう。

まずは、小説です。小説作品は3つありますが、全世界累計320万部を突破しています。

原作小説と位置付けられている新海誠監督自らのノベライズ小説「小説 君の名は」は角川文庫から出ています。

そして、新海誠監督作品のノベライズ作者としておなじみの加納新太さんが本作でも担当。

君の名は。 Another Side:Earthbound」というタイトルで、サブキャラクターの性格などを掘り下げた作品に仕上げています。

そして、もう一つは、子供向けの小説として新海誠自身が著者であり、イラストレーターのちーこさんがイラストを担当した「君の名は。(角川つばさ文庫) 」が出ています。

『君の名は。』の漫画

小説以外にも、漫画が2つあります。
新海誠監督の原作小説をもとにした琴音らんまるさんの漫画「君の名は。」が全3巻。

中村ジュンヤさんが描いた、加納新太さんの小説を漫画化したコミック「君の名は。Another Side:Earthbound」が全2巻で発売されています。

関連・類似作品との比較や共通点

本作品のタイトル名を聞くと、多くの人が新海アニメの『君の名は。』を連想すると思います。

しかし今から50年ほど前、同じタイトルのドラマ『君の名は』が流行していました(最後に「。」がありません)。

タイトルこそほぼ同じですが、内容でアニメ『君の名は。』と重なっている部分は、あまりありません。

ただ、主人公とヒロインがすれ違いを続け、なかなか会えない根底の構造は共通しています。

『君の名は』では会えそうで会えないシチュエーションが続きますし、『君の名は。』も瀧と三葉は終盤近くまで出会えません。

「会うことができないもどかしさ」という点は共通しています。

映画版は1953~54年に3部作で制作されました。
当時、ヒロインがしていたストールの巻き方が流行した、とのエピソードがあるほどの人気だったそうです。

実写版『君の名は』はHuluで配信されています。

『君の名は。』の豆知識

『君の名は。』には、瀧と三葉を結びつける日本古来の物が2つ出てきます。

「それは口噛み酒」と「組み紐」ですが、言葉だけ聞いてもピンとこないかもしれません。

しかし、それぞれの意味を知ると日本とは素晴らしいんだと改めて感動します。1つずつ紐解いていくので、『君の名は。』を違う目線でお楽しみください。

口噛み酒

劇中で出てくる「口噛み酒」は実際に存在しており、酒の原形ではないかと言われています。

イメージしやすいのはどぶろく」ではないでしょうか。

劇中のように、「神事の際に使われる御神酒として扱われていた」と文献にも残っています。

この「口噛み酒」は神に納めるお酒なので、汚れていない巫女か処女が作っていたとされており、劇中でも三葉と妹の四葉が巫女として「口噛み酒」を作っています。

新海監督は、このシーンに特別な意味はなくフェチ要素だと語っています。

作り方はご飯を口の中で液体になるまで噛み、瓶の中に吐き出して作ります。

唾液が混ざることで、ご飯の糖分が科学反応を起こして瓶の中で発酵していき、アルコールになっていきます。

カタワレ時に瀧と三葉が実際に会った際「口噛み酒」を瀧が飲んだことを聞いて、三葉は顔を真っ赤にして動揺しています。

このシーンで三葉がなぜ真っ赤になったのか、作り方を知るとわかるのではないでしょうか。

組み紐

これは仏教が伝わってきた時に持ち込まれた、巻物や仏具や経典についてきた紐が始まりとされています。

劇中では、この組み紐が三葉と瀧を繋ぐ赤い糸がのようにキーポイントとなっています。

そして祖母一葉が、孫達に「むすび」として語っています。

「土地の氏神様をな、古い言葉で産霊(むすび)と呼ぶんやさ。この言葉には深い意味がある。糸を繋げることもむすび。人を繋げることもむすび。時間が流れることもむすび。全部神様の力や。わしらの作る組み紐もせやから神様の技。

時間の流れを表しとる。より集まって形を作り、ねじれて、からまって、時には戻って、途切れ、また繋がり、それがむすび、それが時間」

この台詞は、瀧と三葉の関係性を言っているようにも見受けられます。

祖母は最初から瀧と三葉が入れ変わっていることに気づいていて、むすびの話を知らない瀧に教えているのではないでしょうか。

この祖母の言葉を瀧が思い出したことで、瀧はパラレルワールドから三葉と交差する世界へ繋がります。

『君の名は。』がハリウッド映画にも!

実はハリウッド映画としてのリメイクが決定しています、しかも実写で!

本作の配給会社である東宝とパラマウント・ピクチャーズが製作・配給を務める予定です。

大ヒット人気ドラマ「LOST」(2004年~2010年)の監督でもあるJ・J・エイブラムスが製作を務め、映画ファン以外にも人気を博した「(500)日のサマー」のマーク・ウェブが監督を務める予定とのこと。

どうなるか怖い感じもしますが、製作・監督を見る限り、いい作品に仕上がりそうです。
まだ公開日やキャストなどは決まっていません。楽しみに待つことにしましょう。

『君の名は。』の成功を決めたのは脚本!?

新海監督の過去作では、世界観(SF)と人物と分離していた感があります。

言い換えると、ストーリーを支える世界観が人物たちの関係にあまり溶け込んでいませんでした。

しかし、本作では三葉と瀧の2人の関係。
そして、それ以外の人たちとの関係が物語の進行に深く関係するようになりました。

新海誠監督の特長と言ってもよいポエムのような感情は、過去作で一方通行になりがちでした。

本作でも想いのズレはありましたが、結果的に三葉と瀧の想いはつながり、コミュニケーションが成立しています。

言の葉の庭』でもドラマチックにカタルシスをもたらしながら、主人公が心を通わせることに成功しています。

時代背景や世界観との親和性

本作ではスマホが多く利用されていますが、こういった時代背景をうまく取り入れたこと。
そして、RADWIMPSと世界観の親和性が非常に高かったこと。

これらが本作の成功要因になっていそうです。
「脚本・音楽・世界観」のすべてが絡み合って生まれた作品、それが『君の名は。』と言えるのではないでしょうか。

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